元SUPER STUPID、孤高のギタリスト大高ジャッキーのソロユニットchietronix が2010年にCDのみでリリースしたアルバム「salaam」。リマスターどころか13年前のテイクと13年後のテイクを組み合わせ、最新テクノロジーで全く新しい作品に生まれ変わった「salaam 2023」が配信限定で登場！ミニマル、ジャズ、テクノ、プログレ、民族音楽が随所に散らばり、SUPER STUPIDの1stアルバム収録の「ビブーティー」ライブバージョンまで。 全ロックファン必聴のベスト・オブ・大高ジャッキーインストアルバム。
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＜収録曲＞
01：Pomegranates Pt.1 feat.TADAHELL & ドラつむり
02：Pomegranates Pt.2 feat.TADAHELL & ドラつむり
03：Amvabi Pt.1
04：Amvabi Pt.2
05：Ashik Kerib
06：Gitanos Treaneros
07：salaam
08：灰野敬二トリオ feat.TADAHELL & ドラつむり
09：Friendship Bridge
10：Vibhooti (LIVE at 本八幡Dragon Ball 2008)
11：Ending
タイトル：salaam 2023
アーティスト：chietronix（チエトロニクス）
発売日：2023年10月11日（水）
形態：配信アルバム
＜大高ジャッキー本人による楽曲解説＞
01：「Pomegranates Pt.1 feat.TADAHELL & ドラつむり」
CD収録の「The Colour of Pomegranates」は18分。9分の曲を2曲繋いだものだった。配信の都合上10分以上の曲はアップ出来ないため、今回は2曲に分けた。13年前弾いたジャッキーのギターとTADAHELLの7弦メタルギターが絡み、今度はドラム＆ベースが加わりバンドサウンドになった。64分音符のドラムからフェードインする生ドラム。尺を少し短くして聴きやすくなった。マニュエル・ゲッチングの「エレクトリック・ギターの世界」を聴いたジャッキーが感動してアンサーソングとして完成させた。
02：「Pomegranates Pt.2 feat.TADAHELL & ドラつむり」
CD収録の後半。TADAHELLのメタルギターがフューチャーされクラシックギターの旋律と絡む。こちらもバンドサウンドになっており、随所に散らばるサンプリングはジャッキーの思い出の曲ばかり。テクノはミニマルミュージックからの影響がある。ジャッキーもまたミニマルミュージックを自分流に完成させた。
03 & 04：「Amvabi Pt.1 & Pt.2」
CD収録の「Amvabi Surmise Tsukihista」は18分の長尺であった。ジャッキーはこの曲を気に入っておらず、今回収録は全く違う曲へとすり替えた。20分の組曲。アレンジの中には30年前DAT一発録りの曲もカットアップされてバースになっている。TB-303が怪しくうねり、ボトルネックギターは束の間の休息、最後はレゲエワンドロップのリズムにアウトロは食器のフライパンをブラシスティックで叩く。
05：「Ashik Kerib」
CD収録のオリジナルバージョン。クラシックギターの旋律はインプロヴィゼーション一発録り。現在ジャッキーはヒップホップを製作しているが、このビートは現在を予感させるブーンバップだ。リズムはノイズかと思いきや、ジャッキーが24歳の時に工芸高校生の力を借りて製作した世界に一台しかないオリジナルエフェクター「Jackytronix」。E-Bowがストリングス的で曲を盛り上げている。
06：「Gitanos Treaneros」
この曲はフラメンコギターの巨匠、パコ・デ・ルシアの1stアルバム「天才」の1曲目。ジャッキーは18歳の時にパコの音楽に出会い、「お前には絶対に弾けない」とギタースクールの講師に言われたのを悔しくて毎日この曲を8時間練習したのは良い思い出。「天才」の譜面を入手し、20年ぶりにこの曲に取り掛かった。この曲は13年前に録音されたものを最新技術でミックスし直したテイク。
07：「salaam」
20年前、まだパソコンがオーディオを読み込めない時代にハードディスクレコーダーで録音されたテイク。ギターの弦をダランダランにチューニングを下げてデタラメに弾いた。とは言っても前に録ったテイクに演奏を合わせている箇所もあり、構成はしっかりしている。サラームとはアラブ語で「こんにちは」の意味。メキシコから帰ったジャッキーは一目惚れした女性のためにアルバム「Susanna」を製作したが、それを録音したカセットテープをアメリカ人のジャンベプレーヤーに送ったところ「サラーム！駄作を作った友よ！」と手紙が来てムカついたことからサラームと言う単語はジャッキーの一生のトラウマワードになった。なお、「Susanna」はジャッキーにとって黒歴史であり、二度と聴かない。
08：「灰野敬二トリオ feat.TADAHELL & ドラつむり」
この曲は「salaam」のリミックス。ドラつむりのフリージャズドラムにTADAHELLのエフェクターを10台繋いで一発録りで録音されたギターが印象的。ジャッキーはNative Instruments社のREAKTORの第一人者であり、REAKTORを90%使った作品が2007年作の「sTretch gLitch」である。REAKTORは結構エグいエフェクターが多い。ジャッキーはREAKTORで一からパッチを作る技術を持っており、今回使ったエフェクターもオリジナルパッチである。
09：「Friendship Bridge」
CDのオリジナル。リズムは「Jackytronix」。アウトロのギターフレーズはイングヴェイマルムスティーンが即興でよく使うフレーズ。高校生の時にギター講師から「歌う様にアドリブを弾け」と言われてこの曲でジャッキーは一発録りでアドリブで歌う様に弾いている。聴こえにくいが、クラシックギターのハーモニクスもステレオで鳴っていて、それはジャッキーが中学生の頃から好きなU2のジ・エッジの影響。ヒップホップのDJと2人で作った曲で、DJはジャッキーのギターを使って別の彼のアルバムに収録されてもいる。
10：「Vibhooti@Sakura Garden」
この曲はSUPER STUPIDの1st「What A Hell’s Going On?」に収録の曲のライブバージョン。SUPER STUPIDのバージョンではエンジニアにフレーズを沢山録ってマスタリングで繋げればいい、との助言に頭にきたジャッキーは一晩寝ずに構成を練って一発録りで録音した。短い曲ではあるが複雑な構成とテンポチェンジの嵐で変拍子もある。SUPER STUPIDのバージョンを死ぬほど聴いたジャッキーは完コピしてライブに臨んだ。本八幡にあったDragon Ballと言うクラブで不定期的に開催されていたDJ Wataru SakurabaのイベントSakura Gardenでのライブ録音。
11：「Ending」
ジャッキーはDTMをやる時は集中するので24時間以上起きていることはよくあるが、一曲完成してその余韻でもう一曲作ると力の抜けた感じで完成した曲よりももっと完成すると言うジンクスを信じており、この曲も例外ではない。弦楽四重奏はジャッキーの長年の夢。オーケストラの譜面を書いてクラシック編成での録音はジャッキーの晩年の課題である。20歳の時にジャズギターの師のもと、ドン・セベスキーの「コンテンポラリーアレンジャー」と渡辺貞夫の「ジャズスタディー」の二冊を聖書として読み漁った頃を思い出す。ジャッキーはバークリー音楽院を目指していた時期があり、ボストンに願書をもらいに行ったことがある。SUPER STUPIDがメジャーデビューしてその願いは叶わなかった。バークリー卒業は履歴書には書けるが実際に良い仕事に就けるかはやはりどの仕事も同じで難しいのだ。ジャッキーのジャズギターの師はバークリーを主席で卒業しているが、横浜の小さい音楽スクールでギターを教えている現状にかっこ悪さを見出してしまった。SUPER STUPIDが売れてから師が連絡して来て、「大高、今音楽留学の仕事をしている。SUPER STUPIDのファンをどんどん留学させて」と言う誘い文句に宗教のネズミ講のイメージを持ったジャッキーは師の誘いを断り、師を超えたのであった。
【発売中】
▼大高ジャッキー「Ohtakin Way」
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▼なんちゃらアイドルloves大高ジャッキー「Silver METAL Love Song, Baby」
▼なんちゃらアイドルloves大高ジャッキー「Teens Blues」
大高ジャッキー
ハイスタンダードの恒岡章とのバンド、The Casinosでの活動を経て、伝説のメロコアバンド、SUPER STUPIDを結成。超絶技巧に加え、複雑な展開と偏執的なまでの音のコラージュにより、多くの業界人を魅了したギタリスト、大高ジャッキー。
▼ディスコグラフィー
1998年「MOTHER」
2011年「salaam」
2023年「Ohtakin Way」
2023年「Big High Know Day Light」（10月配信予定）
2023年「salaam 2023」
